ダフトミル12年サマーリリースは、ローランドのクラフト蒸留所が年2回（夏・冬）のみリリースする希少なシングルモルトです。今回のボトルは、2012年蒸留の原酒を2025年にボトリングしたもので、23樽のファーストフィル・バーボンバレル熟成原酒をバッティングしたシングルヴィンテージの加水バージョンです。
原料には、自社農場で栽培したConcerto種の大麦を使用し、モルティングはCrisp社に委託。ピートは一切焚かないノンピート麦芽で、ローランドらしいクリーンでフルーティーな酒質を追求しています。蒸溜はスコッチ伝統の2回蒸溜で、小型スチルによる丁寧な造りが特徴です。
Daftmillは年間生産量わずか約65,000Lという超少量生産で、ファーム・トゥ・ボトルの哲学を徹底する蒸留所。希少性と品質の高さから、世界中のウイスキー愛好家が注目するブランドです。今回の12年は、バーボン樽由来のバニラやハチミツ、フレッシュなフルーツの香りが際立ち、ストレートでじっくり楽しみたい一本です。
ダフトミル蒸留所（Daftmill Distillery）は、スコットランド・ローランド地方ファイフに位置する、世界的に希少なクラフト蒸留所です。
1984年、カスバート家がピトラー・エステート（Pitlair Estate）を購入したことから歴史が始まりました。もともと農業を営む家族で、ウイスキー造りは副業としてスタートしたというユニークな背景を持ちます。
2003年、ナポレオン時代の古い工場を蒸留所に改装する計画を提出し、2005年に創業（キルホーマンと同年）。同年12月16日に初蒸留を行いました。
そして、創業から13年後の2018年に初のオフィシャルボトルをリリース。その希少性と品質の高さから、瞬く間に世界中のウイスキー愛好家やコレクターの注目を集めています。
ファーム・トゥ・ボトルの哲学
この蒸留所は、自社農場で育てた大麦（主にConcerto種）を原料に使用し、原料からボトルまで一貫した品質管理を徹底しています。モルティングは信頼あるCrisp社に委託し、ノンピート麦芽を採用することで、クリーンで透明感のある酒質を実現。ローランドらしいフルーティーでエレガントなスタイルを追求し、伝統と革新が融合した味わいを生み出しています。
リリースと希少性
年にわずか2回、夏と冬に限定リリースされるボトルは、世界中のウイスキー愛好家やコレクターから熱い視線を集める希少な存在です。ローランドモルトの伝統を現代に蘇らせた蒸留所として高い評価を受け、その入手困難さがさらに価値を高めています。
カスバート家は、歴史的な大地主や財閥というわけではなく、農場経営を基盤にした家族経営の蒸留所オーナーです。ウイスキー事業自体は小規模で、むしろ「農家が副業として始めた蒸留所」という位置づけに近いです。インタビューでもフランシスは「農家がウイスキーを作っているだけ」と語っており、豪華な設備や大量生産とは無縁で、これからが楽しみな蒸留所です。
原料：自社農場で栽培したコンチェルト種（Concerto）が中心。最近はローリエート種も試験的に栽培されています。精麦はCrisp社に委託。
糖化：セミロイタータンのマッシュタンで、1バッチ1トンの麦芽を使用。
発酵：ステンレス製のウォッシュバックを2基使用。発酵時間は72～100時間と長め。
蒸溜：ウォッシュスチル1基(3000L）、スピリッツスチル1基(2000L)の2回蒸留。蒸気による間接加熱でフォーサイス製。冷却はシェル＆チューブ方式
熟成：ダンネージ式貯蔵庫で行われており、アメリカンオークのバーボンバレルがメイン。一部ヨーロピアンオークのシェリー樽を使用しており、バレルサイズとホグスヘッドサイズが中心です。
